TOXIC ―不適合な奴等―
 男の名はハメネイ・ロストック。
 黄色人種に近いようだが、国籍は不明。
 国の存在しないこの星では、無意味な情報か。
 まぁこんなご時世、混血で無い方が珍しい。


「うをぅぅ~…眩し」


 戸を閉めて唸る。
 無理もない。部屋の中は薄らぼんやりとしか陽が入らず、その暗闇から急に、昼前の元気な陽を浴びたのだ。
 身体が軋み、眼は潰れそうな位だった。


「ん~~……へぇ」


 ノビをして空を仰ぐ。


「いい~い天気だねぇ」


 澄んだ灰の空は雲一つない晴天。
 翼竜すら飛んで居ない、見晴らしの良い事この上ないのなんのって。


「~~て、行きますかねぇ」


 背を丸めポンチョを肩に引っ掛け、片手をポケットに突っ込んで、小さな階段をテコテコと下りて、ダラダラ歩き出す。

 彼が出て来た扉には小さく、『ロストック探偵事務所』と書かれた木製の看板が揺れていた。

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