TOXIC ―不適合な奴等―
 薄暗い事務所の中には、更に薄暗い存在があった。

 ハメネイ達が入って来て立ち上がるそれは、たしかに踝(クルブシ)まである長いマントコートの上からでも、少女であると分かる。


「待たせてしまって、まぁ座って下さい」


 スッと手振りをするがまるで無視して、深く被り、表情の読めないフードの下から言う。


「あなたがロストックさん?」


 やはりと言うか、声は若い。
 頭を掻く。


「まっ、そうですがね。部屋の中なのでマントコートを外されては」


 一瞬、ちらっとユエルを見る。
 視線に気付きあたしお茶淹れるね、とくたびれた台所に立った。


「……わかりました」


 思ったよりもすんなりと、フードを外しコートを脱いだ。

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