TOXIC ―不適合な奴等―
 頭を抱えていたハメネイは、ふと顔を上げる。


「……もう一度?」


 フィートウは一瞬、眼を逸らしたが、頷いた。


「前に、一度だけ…見た事、あるんだ…」


 そう言って耳をたらして俯く。
 たった一度、本当に少しだけ、ちらりと見たのだと。

 それは大きな白い鳥だったらしい。
 働いている店の窓から、道行く人波を眺めていた時に見たのだと。
 恐らく主だろう人の肩に留まっていたのだそうだ。

 鳥だとわかったのは、その人物が通り過ぎた後だったらしい。


「前に、絵見た事あるんだ……鳥の絵」


 懐かしむように眼を細める。
 尻尾がふわりと躍った。


「………」


 紫煙を吐いて、視線を逸らし考える。

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