BLACK×HEAVEN
「ルイ…なんで…」



ゴスロリのマリアが、隣にいるナナコの手を握り締めながら涙声で言った。



ナナコは、夏は浴衣で春秋冬は着物を必ず着ている。



今日は、鴬色のシンプルな着物。



そのくせ、髪はシャンパンゴールド。



ナナコはマリアの手をしっかり握り返した。



「アイツも相当キツかったんだろ。かわいそうに…」



最年長のタケが言った。



喉の奥がつまったようなしゃべり方はいつもの通り。



「かわいそうなんかじゃねぇよ。俺らだってアイツと変わんねぇのに…なんで…アイツだけ…」



パンクバンドのボーカルみたいなシュウイチが、膝から崩れ落ちた。



顔を両手で覆って泣いている。



タケがシュウイチの頭をくしゃくしゃっと撫でた。
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