BLACK×HEAVEN
「そのボタン、押したいみたいですね」



リーダーの手にはすでにトカレフが握られている。



銃口は、真っ直ぐに男性銀行員の頭に向けられていた。



「押してもいいですよ。あなたの命と引き換えならね」



リーダーは穏やかな表情でとんでもないことを口走った。



男性銀行員は、マンガの登場人物のようにゴクリとつばを飲み込み、その場でおとなしくなった。



「おいとましようと思っていた所ですが、彼のせいで気分を害しました。なのでもう少し怖い思いをしてもらいましょう」



人質たちはたぶん、あの男性銀行員の事を一生恨むやろう。



そんな気配が重々しく漂っている。
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