雑草だから笑う。
兄夫婦の別居。

兄達夫婦は実家で同居していた。


同居といっても母も私も店に居る時間が長くて家でゆっくり顔を合わせることはなかった。



「家族の団欒がない家」そう言った義姉。



その通りだがショックだった。

そう言われてショックだったのではなく、別居ということがショックだった。



兄と私は家族団欒というものを知らない。

お盆もお正月もない家庭。

そんなところで育ったため、もう大人になった私は、お正月には何をして、何を食べ・・・・・といった常識的なことを知らない。



でもこういう環境で育ったからこそ、先に結婚した兄には幸せになってほしいと思っていた。

店のことに一切協力しない兄に苛立ちもあったが、やはり家庭は壊して欲しくなかった。


しかし2人の間で喧嘩が絶えなくなり、こういう結果になった。



私以上に母はショックを受けていた。



兄にはその頃、1歳半になる娘がいた。

母には初孫。

店で忙しくて、一緒に住んでるのに毎日会えなくても、24時間働いてクタクタになっても孫の顔を見ると、疲れも吹っ飛んだのだろう。



母は強い人だと思われていた。

世間もそして父や祖母、きっと兄でさえそう思っていただろう。

でもほんとは違っていた。



私の部屋で泣いたこともあった。

一緒に車に乗っていてふと泣いたこともあった。



何で表面の母の姿だけを見て「強い」と決め付けるの?

こんなに苦しんでるんだよ。

どうして誰も本当の姿を見ようとしない?

単細胞のバカ共がっっっ!!!





兄が別居をしたからといって母と私の生活が変わることはなかったが、この頃から母は疲れで腕が上がらなくなり、私は常に全身が筋肉痛だった。








< 17 / 34 >

この作品をシェア

pagetop