雑草だから笑う。
それから2年間、私は彼と同棲をし、仕事をして普通の生活をしていた。

生まれたときから商売をしている家にいた私にとってささやかな幸せが嬉しかった。




そんなとき、兄からかかってきたあの1本の電話。



実家に戻ったその日から私は、1日も休みがなく、給料もゼロ、労働時間12時間という毎日を続けた。

携帯などの支払いは、今までの自分の貯金を切り崩して支払った。
服ひとつ買えなかった。

母は私以上に働いた。


この生活は「父が退院してくるまでの間」と、母とお互いに励ましあって仕事をした。




うちの実家はほんとに田舎で、父の事故の話もあっという間に広まり、自殺未遂じゃないかと噂にもなった。

ただ、父は緑内障で目が悪かったので、ほとんどの人は事故か自殺未遂か半信半疑のようだった。


あきらかに好奇の目で店へやってきてわざと私に「お父さんどうしたの?」なんて聞いてくる人もいた。

そんなときは明るく「雨が降ってたから視界が悪かったらしくて事故っちゃったんです」と軽く答えていた。


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