precious one
2.初めてのキス
彼氏という存在に慣れるまで、それほど時間はかからなかった。
稔太は、本当に優しくしてくれる。
稔太の愛を感じると、
あたしはこの人の“トクベツ”なんだって思えた。
そして、あたしの“トクベツ”も彼だと。
付き合ってから、初めて知ったことがある。
それは、
稔太がおばあちゃんと、二人暮らしだということ。
両親は、稔太が生まれてすぐに、
稔太を捨てて家を出た。
兄弟もおらず、血縁関係があるのは、おばあちゃんだけ。
稔太にとって、唯一の家族だった。
普段の稔太からは、全く想像できなくて。
あまり愛情を受けてない彼を、
あたしが精一杯愛そうと思った。
あたしの愛を全て、稔太に捧げようと誓った。