precious one
あたしにとって彼は、
目を伏せたくなるほど、輝いてた。
自分をしっかり持って、我が道を歩く彼に、
あたしはすぐに惹かれた。
気付いたら、世界が彼色に染まってた。
渋谷稔太(しぶたにじんた)。
お調子者で、短絡思考で。
どうしようもないやつだけど、
あたしだけに見せる顔は、男って感じがして。
稔太を好きなのを、やめられない。
稔太と出会ったのは、高1の春。
たまたま同じクラスになって、席も近くて。
あたしと稔太は、いわゆる“仲良しグループ”になった。