precious one
ガラッ
「あら? あんたたち、もう授業始まってるわよ」
突然入ってきた先生に、
稔太の手はあたしから離れた。
けど、ある意味良かったかも。
あのままだと、あたしの心臓がもたなかった。
「愛花、戻ろうか」
稔太が立ち上がって、あたしに手を差し伸べた。
その手に自分の手を重ねて、立ち上がる。
そのまま手を引かれるように、保健室を後にした。
さっきまでのドキドキは、あたしの中でまだ続いてた。
カップルという関係に慣れても、稔太にはいつもドキドキさせられてて。
手が触れてるだけでも、あたしのその部分は熱くなる。
「愛花」
「ん?」
呼ばれて相槌を打つと、
「さっきの続き、今日俺んちでな?」
そう言われて、あたしの顔は赤く染まった。