precious one
放課後になって、いつものように稔太と帰る。
「ほら、手」
手を繋いで帰るのも、いつもと同じ。
稔太の手は、温かい。
雨の日も、風が吹いてる日も。
どんな日だって、温かいの。
その体温が少し、あたしを恥ずかしくさせる。
「愛花、今日俺んち来る?」
「稔太んち?」
稔太は、あたしを見て微笑みながら聞いた。
「そう。ばーちゃんにも、愛花のこと紹介したいし」
「えっ///」
稔太のおばあちゃんと言えば、親代わりになる人。
つまりあたしにとっては、彼氏の親に会うのと同じこと。
「恥ずかしい…///」
「だーいじょうぶだって! ばーちゃん、多分愛花のこと気に入るはずだから」
笑顔でそう言われて、
あたしは頷くしかできなかった。