precious one


「俺の部屋、2階だから」


稔太について、階段を上がると、

ドアが2つあった。

おばあちゃんの部屋は下らしく、1つは使っていない部屋ということになる。


「…部屋、余ってるね」


あたしは、呟くように言った。

触れていいのかどうか、分からなかった。


「そこの部屋さ、両親の部屋なんだ」


稔太は前を向いて、言った。

どんな表情をしてるのか、あたしからは見えなかったけど。

でもきっと、聞いてはいけなかった。


無言のまま、部屋へと入るあたしたち。

稔太の部屋はすごくシンプルで。

下の部屋が畳だったのに比べ、ここはフローリングだった。


「適当に座って」


そう言って稔太は、ベッドにもたれるように座った。

あたしは、なるべく稔太の近くに、腰を下ろした。




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