precious one
3.4泊5日
「あ、当たり……?」
あたしが今手に持ってるものは、なんなんだろう?
年が明けて、1ヶ月が過ぎた。
2月になって、3年生が自由登校になったある日。
LHRが始まって、一言目に担任は言った。
「今から順番にくじ引け」
何のためのくじなのか、謎なまま引いたら。
紙には大きく、“当たり”という文字が書かれている。
「おっ、井上当たったか?」
横から担任が、その紙を覗き込んで言った。
状況が見えないあたしは、その“当たり”という文字を、眺めるしかなかった。
「何、何? 愛花、なんか当たったの?」
面白そうだと思ったのか、
まだまだ順番の回ってこない利香が、あたしの元へとやってきた。
他のみんなも、あたしのまわりに群がる。