precious one


けれど筒本は、平然と言葉を続けた。


「稔太はああ見えて、意外と真面目なんだ。それは井上も分かるだろ?」


あたしは小さく頷いた。

お調子者の稔太でも、ちゃんと物事を考えながら行動してる。


「恋愛もそう。自分の好きな子としか、絶対に付き合わない」


あたしは、遠くにいる稔太を見つめた。

稔太の好きになった子。

一体どんな子なんだろう?


「稔太は今までに、三人の子を好きになって、そのうちの二人と付き合った。
けど、長くて半年しか続かなかったよ」

「半年…?」


あたしと稔太は、付き合って五ヶ月。

そろそろ、ダメになっちゃうのかな…


勝手な想像で、沈んでしまうあたし。

けれど筒本は、言葉を続けた。




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