precious one


その時。


水道の近くに、稔太、筒本、片瀬の姿が見えた。

近寄ろうとした時。


柱に隠れていた人物があたしたちの視界に入った。


それは、

鈴村里世たちの姿。


「ちょっ、なんであいつらがいんのっ?」


里世たちを見つけた利香が、声を荒げた。

里世が話しかける人物は、稔太だった。

あたしの表情は崩れていく。


なんで?

稔太と話してるの?


不安になるあたしを余所に、利香が3人に声をかけた。


「渋谷ー」


呼ばれた稔太は、視線をこっちに向けた。

そして、里世の視線も。




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