precious one
「なんかさ、最近すげー幸せだなって思うんだよな」
「幸せ?」
「うん」
稔太の言う幸せ。
それはどんなことなのかな?
稔太は、あたしの手をそっと握りながら言った。
「ばあちゃんとの二人暮らしも、今までは寂しかったけど、一人じゃなくて良かったって思うようになったし」
そう言って、嬉しそうに笑った。
「学校に行けば、遊史も剛も、森崎も早川だっている」
稔太の握る手に力が入った。
それに反応して稔太を見ると。
「俺の隣には、いつだって愛花がいる。それがすげー幸せ」
あまりに優しく笑うから、胸がきつく締め付けられた。
体中から、好きが溢れる。