precious one


大体いつもは、筒本がいないことが多いのに。

この日だけは、なぜか三人揃ってて。


「稔太から、モーニングコールがありました」

「モ、モーニングコールっ!」


片瀬の言葉に、吹き出す利香と未矢。

笑われた片瀬は、顔を歪めてた。


あたしは、そんな光景を、みんなより後ろから眺めてて。

すると、稔太と目が合った。


「おはよう、愛花」


優しく微笑みながら、稔太は言った。


「じ、稔太、おはようっ」


あたしは、少しどもりながらも、返事を返した。


「愛花ぁ~? 稔太ぁ~?」


あたしたちの変化に気付いた利香が、顔を歪めてこっちを見た。


「なんであんたたち、そんな急接近してんの?」


利香の疑問は、最もだと思う。

だって3日前まで、“井上”と“渋谷”だったんだから。




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