チャリパイ12
~資産家令嬢殺人事件~
「…あれ?」
うつむき加減に下を向いていた鑑識の男が、ふいに素っ頓狂な声を上げた。
「何だ?いきなり?」
「そこ、松田刑事の足元に、血液の付いた足跡が有りますけど……」
「えっ?…おわっっ!!」
大事な手掛かりは、偉そうに鑑識を怒鳴っていた松田刑事のすぐ足元にあった。
それは、かなり大柄な
人間のものと思われる
大きな靴の足跡であった。
「デカイな……28~9センチはあるんじゃないか?」
その足跡は、ほんの1、2歩で消えていた。
おそらく、途中で気が付いて拭き取ったのだろう。
その大きさを後で正確に計ったところ、28センチあった。
「よし♪犯人は、デカイ男だ!この手掛かりは決定的だな♪」
松田はシチローをチラリと横目で見ながら満足そうにそう言い放つと、豪快に笑った。
この殺人事件捜査合戦は有効な手掛かりを見つけた警察側が一歩リードか?
と思われたその時だった。
「あら……?」
今度は、てぃーだが小さく眉を動かして呟いた。
「あの、美佳さんの右手のそばにある血痕……
何だか文字のように見えない?」
そう言われてみると、見ようによってはそんな風に見えないでもない。
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