チャリパイ12 ~資産家令嬢殺人事件~

「まあ~夫婦間のゴタゴタはこの際置いといて…これでアリバイのある
馬場社長と岡崎夫人は
『シロ』って事になるな…」


松田が残念そうに呟いた。


「じゃあ、犯人は羽葉さん?」


ひろきのそんな言葉に、皆の視線が羽葉に集中する。



「ち!違うぞ!私は何にもしてないぞ!」


頭を横にブンブンと振り、身の潔白を主張する
羽葉だが……


「そんな事言ったって信じられる訳無いでしょ!犯人じゃないと言うなら、アリバイを言ってみなさい!」


「アリバイと言っても……え~と…確か午後八時頃といえば……」













「あ……
その時間なら、確か…」


そう言って羽葉が見たのは、岡崎の方だった。



「?」



「ほらっ、岡崎さん!
その時間なら、ちょうどアナタと最近の不動産事情について話をしていた頃だ!」


岡崎は、一瞬考えた後に思い出したように手の平の上で拳をポンと叩いた。


「おお~言われてみればあれは確かに八時頃だった♪」


岡崎がパーティーの中で、招待客を前に挨拶のスピーチをしたのが午後七時半、そのすぐ後からおよそ一時間に渡って、岡崎と羽葉はワイン片手に話をしていたのだ。


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