チャリパイ12 ~資産家令嬢殺人事件~

殺人事件には、動機が必要である。


現場に残されていた大きな足跡と、血文字の
『ババ』は良いとして、馬場よしこが美佳を殺すに至った動機はあるのだろうか?


「ところで松田刑事…
馬場よしこが美佳さんを殺す動機については、何か調べてあるのかい?」


もしも、調べていないなんて答えようものなら、思いっきりバカにしてやろうと、シチローは運転席の松田に尋ねてみた。


ところが、シチローのそんな質問に松田は落ち着きはらってこう答える。


「動機?…それなら簡単、いわゆる『嫉妬』というものだよ♪」


「嫉妬?」


「そう!岡崎美佳も馬場よしこも、いわゆる
セレブのお嬢様だが……大学での二人の人気は
随分と差があった。
美しい容姿でありながらも、大学で漫才コンビを結成する程の親しみやすい性格な美佳に対して、身長180センチの威圧的な体に性格もちょっとキツイ馬場よしこでは、美佳の方に人気が集中するのも無理はない」


「なるほど……嫉妬ねぇ……」


しっかり動機まで調べていた松田刑事に、心の中で舌打ちをするシチロー。


そんなやり取りをしているうちに、車は馬場よしこの通う大学の前へと
到着した。


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