チャリパイ12 ~資産家令嬢殺人事件~

「冗談じゃない!俺は、犯行があったという8時頃、岡崎夫人と一緒にいたというアリバイがある!……この間、刑事さんに話したじゃないですか!」


「私だってその時間は、岡崎さんと談笑をしていたんだ!」


馬場芳郎と羽葉康文の二人が堰を切ったように反論を始めた。


そのアリバイは、捜査が始まってすぐに確認の取れている事項である。


松田は、二人に掌を見せながら『落ち着いて、落ち着いて』とジェスチャーをしてみせると、最後の仕上げにかかった。



「聞き込みによると……あの夜、丁度犯行のあった時間のすぐ後に岡崎邸の庭の外で、妙に落ち着かない様子で帰って言った挙動不審な長身の女性の姿が目撃されていました」



「まさか!」



馬場芳郎が驚いたように我が娘のよしこを見つめた。











「そうです!
犯人はズバリ……
『馬場よしこさん』君だ!」




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