チャリパイ12 ~資産家令嬢殺人事件~

「まさかあれが漢字の
『八』だったとは……
いや、それは気付かなかった」


岡崎が、感心したように頷いた。


「オイラも最初は気付きませんでした。
現場の文字に血しぶきの濁点があったから、尚更あれはカタカナだという先入観が働いてしまったのかもしれませんね……」


しかし、ダイイングメッセージの件はそれで良いとして、小島みどりが犯人だとするなら、まだ辻褄が合わない事がある。


松田はその事に言及した。


「28センチの靴跡は、どう説明をつけるつもりなんだ!シチロー!」



するとシチローは、
“少しお待ち下さい”と言って、自分の車から何やら紙袋のような物を抱えて戻って来た。



「いやあ~♪オイラ、素人だから上手く出来ているか不安なんですけど……ひろき、ちょっとこっちへ!」



シチローが持って来た
紙袋の中身は、ブーツであった。
シチローは、ひろきを呼びつけ、そのブーツを履いてみるように頼んだ。


「でもこれ、ずいぶん大きいみたいなんだけど…あたし、靴のサイズ24センチだよ……」



まるで男が履くような大きさのブーツである。


しかし、それでもシチローはひろきにそのブーツを履くように勧めた。



< 59 / 93 >

この作品をシェア

pagetop