チャリパイ12 ~資産家令嬢殺人事件~

「おや?……皆さん、
そんな事がある訳が無いという顔をしてますね?」


シチローの問いかけに、馬場社長が冷めた表情で呟いた。


「いや、探偵さんには申し訳無いが、そんな靴がそのブーツの他に存在するとは、とうてい思えない」


他の招待客達もそう思ったのだろう。


互いに顔を見合わせて頷いている。



「なるほど……
では皆さん、逆にこんなヘンテコな靴をみどりさんが作っていたのが事実だとしたら、みどりさんの容疑はますます深くなるという事になりますね?」



「そんな証拠はどこにも無いだろ!」


松田が語気を強めた。



しかし、証拠はあったのだ。


シチローは松田の目の前に、ある一枚の写真をちらつかせた。


「これが、その証拠です♪」



その写真には、小島みどりと今は亡き岡崎美佳が並んで笑っている姿が写っていた。


その小島みどりの背丈は隣の美佳よりもはるかに高い……そして、その足にはシチローの言う『シークレットシューズ』らしき靴が履かれていた。


「これは、先月大学で行われた『ハチハチ組』の漫才ライブの直後に撮られた写真です。
このブーツは、コントのネタに使う為にみどりさんが作ったブーツ……
シューズデザインの学科に所属するみどりさんにしてみれば、こんな靴を作るのは朝飯前なんでしょうね……」


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