チャリパイ12
~資産家令嬢殺人事件~
「あそこって一体何処なんだ?シチロー?」
犯人としても全くノーマークであったおトキだというのに、何故シチローにその行き先が判るのだろうか?
シチロー達が事務所を車で出発してから、既に二時間以上が経過していた。
車は、都内から外れ、北の方角へと向かっている。
「おい、一体何処まで行くつもりなんだよ。いい加減教えてくれたって良いだろう」
松田の問いかけには、ただ「着けば解る」とだけ答えたまま、黙々と車を走らせるシチロー。
その根拠は何なのだろう?
もしかしたらシチローは、おトキと接触した僅かな時間に、彼女の言葉遣いや仕草などからある地域性を見いだしていたのかもしれない。
「え~と、ナビによるとこの辺りを左に曲がれば良いのかな?」
シチローは、車のカーナビを見ながらウインカーを左に出す。
すると、交差点を左折したその先には、陽の光を反射してキラキラと輝く海が見えてきた。
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