チャリパイ12
~資産家令嬢殺人事件~
てぃーだが呆れたように呟いた。
「そういえばシチロー、ゆうべ真剣になってTVの『〇曜サスペンス』観ていたわね……」
「そうそう!『家政婦は見られた』って、タイトルからして犯人がバレバレだろ~ってやつね!」
子豚が思い出したようにつけ足すと、それを聞いた松田は頭を抱えてこの車に同乗した事を心底後悔した。
「おい、シチロー……
車を停めろ」
「えっ?だって、もうすぐ着くのに……」
「時間の無駄だ!まったく、こんな所まで車で来ちまって……一日丸潰れじゃねえか!」
松田は、後部座席でぶつぶつと文句を言うが、シチローはそれを聞き流しているようである。
「おい!止まれって言ってるだろっ!端に寄って車を停めろ!」
「うぐっ!…く…苦しい……」
後ろから首を締めようとする松田の暴挙に遭い、シチローはたまらずその場に車を停めた。
「わかった!わかった!ほらっ、車は停めたよ!」
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