慟哭
3 やっと
季節はあっというまに冬になって。
クリスマスまであと2週間、
まあみんなの浮かれようってば、すごい!の一言。
彼氏アリ派はクリスマスプレゼントの選択、その日のファッション、お泊りのアリバイ工作などに忙しく。
相手がいない、でもクリスマスまでになんとか!っていう派は、いつどこでどう告るか、作戦計画。
私は、というと。
見 て る だ け
いや、十分楽しいの!
みんな、ほんと一生懸命でうきうき。
この寒いのに、今日は買い物だのなんだの。
クリスマス前にはめったに降らない雪が昨日から風に乗って飛んでくるのか、チラチラ舞っていて。
私は今日は絶対早く帰ろ〜っなんて心に決めていたのに。
「りーーーかっ」
…今日は早く帰るっ
「ねぇ、利香ぁ〜」
…早く帰りたかったのにぃ…
「…あんまり遠くまではいやだからね?」
「話が早〜い!利香りん大好きぃ」
私たちが何年の付き合いだと思ってんだっ?
里美はもちろん私とクリスマスに過ごすという嘘をついて、例の先輩と過ごす。
さっきの話の流れからして、里美はクリスマスのお泊りに備えて、「勝負下着」を買いに行きたいらしい。
勝負下着…それっていわゆる、その、アレだよね。「今日はやる気満々ですっ!」て宣言してるみたいではないのかな?
「いいのよ、それがあえていい!わけよ」
…ソウデスカ。
里美サンはオトナですから〜。私にはわからない。
「…どうせ脱ぐんでしょ」
思わずボソッと呟いたら。
「あんたの思考はオッサンかっ」
ぺちっとオデコを叩かれた。
えええ〜っ?オッサンて!!
…なんでなんでなんでーっ
もう、やっぱりわかんないっ
まあいいや。黙ってついていこう…
放課後、チラついていた雪は本格的な雨に変わっていて、私たちは自転車を学校に置いたまま、バス亭に向かった。