慟哭
バスに揺られ、15分後にはこの辺りで一番大きなショッピングモールに着いた。
早速、下着屋さんに入っていろいろと物色。
里美の目は真剣そのもので、話し掛けるのもためらうほど。
3点を持ち、眉をしかめて悩んでる。
…やばい、みんな同じに見えるのは私だけ?
やっと里美が私の存在を思い出してくれたのか、振り返り聞いた。
「ね、どれがいいと思う?」
えっ?!やばい、違いがわからないとは言えない〜!
ここはとりあえずごまかすべき…?
「う〜…どれかなぁ…」
悩むフリ?してみたりして。
「これはさ、ここにはレースがあるけどここにはないでしょ?ここにも同じレースが付いてたら文句なしなんだけど。こっちはレースじゃなくてフリルってとこもいいんだけどショーツの股上が深すぎなの。こっちのはその点では全部クリアなんだけど布地の光沢がイマイチ足りないんだよねぇ…」
一度にそんなに言われてもっ
こ、光沢っ?フリル?
3点とも真っ赤だからか全く違いがわからなかったけど、言われてみればちょっとずつ違う。
でも正直、どれも里美には子供っぽいというか、似合わなさそう。
赤にこだわってるのかな?クリスマスだけに。
「ねえ、この際ぐっと大人モードで攻めてみたら?しかも黒とかゴールドでもなくて…んー、例えばこんなの?とか」
なんとなく、ぐるっと見渡した中でも上品かつせくすぅいーなのを選んで、里美に差し出した。
パールがかった淡いブルーグレイに、レースは落ち着いたシルバー。でもブラはハーフカップでショーツはいわゆる、Tバック。え?今はソングって言うのー。へぇ。
「クリスマスだから赤とかわかるけど、あえていつもとはちがう上等なオトナ、みたいな?」
里美は俯き加減にじっと口に手をあててそれを見つめてたけど、顔の位置はそのままで、目だけを私に向けて呟いた。
「…あたしのストレートの髪と白い肌がより映えるわね。利香、あんたあたしのことよく見てくれてるのね」
…上目使いの里美サン、おキレイですね。