慟哭
よくわからないけど褒められたようなのでヘラッと笑ってみた。
「しまりのない顔しないの。レジ行ってくるから待ってて」
ペシッと私のオデコを叩いてからレジへ向かった里美を、呆然と見た。
はっ!?レジ?
「さ、里美っ!ちょっとまってっ」
まさか、本当にそれ買うのっ?!
キョトンとした顔で振り返る里美。
「か、買うのっ?本当にいいの?それでっ…」
どうしよう、せっかくのクリスマスに里美がドン引きされたりしたら…!
「利香、何焦ってんの〜?いいよコレ、すごい気に入ったから」
どうやら本当に気に入った様子の里美の笑顔に、ちょっとホッとした。
会計を済ませる前に、店員さんにさらにお揃いのキャミソールをすすめられ、結局3点お買い上げ。
「…プレゼントが少々格下げになるわ」
…そっちより下着に気合い入ってんのね。
困ったようなうれしいような顔をした里美は、ぶつぶつとお財布の中身をみながら呟いてた。
下着屋さんを出た私たちは、ちょっと休もうとカフェに入った。
二人ともカフェオレを飲みながら、イブの作戦を再確認する。
ここはぬかりなくしっかりとしておかなくては。
里美と先輩は、いつも利用しているラブホのポイントが貯まったから、イブには部屋を優先して予約ができるとか。
てか、ポイントが貯まるほど通ってるって…
仲良しでケッコウですわね。
先輩へのプレゼントが下着のために格下げになったことで、予定していたバッグを変更。
高校へ行ってもバスケを続ける先輩に新しい部活用のバッグを贈るつもりだったのだけど。
「洋服にしようかな…」
値段の上下があるからバッグより安いものもたくさんあるし、洋服は選びやすいかな。
「利香、あのさぁ…」
ちょっとためらいがちに話し掛けてくる里美。
里美の言いたいことはお見通しなんだってば。