慟哭



 ショッピングモール特有のアナウンスやざわめきが耳に入ってくるようになった。



 こんなにもざわついたなかにいたのに気付かないくらい泣いていたなんて。



 膝に埋めた顔を上げ、涙を拭いた。



 ふーー…



 泣き疲れて、頭がぼーっとする。



 のどもかわいた。



 ゆっくりとまわりを見回してみた。



 私がここへ来たときよりも人が増えてきている気がする。



 午後になったせいかな。



 私はきっといかにも泣きましたって顔をしているのだろう、人が前を通り過ぎる時に視線を感じる。



 誰にどう思われても構わないほど、悲しいんだからしょうがない。



 そう…悲しい。



 こんなに悲しいのは。



 ふー…



 大きなため息と、それと同時に胸の奥のほうでストン、と落ちた。



 それは…



 好きだからだ。



 あの一瞬の出来事が体に記憶にこんなにも刻まれたのは、



 好きだから。



 やっと気付いて、妙に納得した。



 あの夏の日、あんなに目が離せなかったこと



 もう一度見たくて、炎天下の公園を探して回ったこと



 あの日から何度も公園に探しに行ったこと



 みんなみんな、理由はそれだけ。 



 好きだから…






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