慟哭



 ショッピングモールを出て、バス停が見えてきてからようやく気がついた。



 ジュース!その他もろもろも…



 あー…もう今日は無理…



 なんだか何も買わずにお店を後にしてきたのに、来る前より重い気がする。



 しょうがないか、また今度、近いうちに出直して用意しよう。



 とぼとぼとバス停まで歩いて。



 無料のシャトルバスで駅まで。そこからまた電車に乗って。



 家の最寄りの駅に着いたときには、もう3時過ぎてた。 



 もうすぐ夕方になるし…



 散々な一日だった。



 泣きすぎて目は張れてるだろうし、体は重いし、買い物もできてないし。



 またまた、とぼとぼと家に向かって歩く。



 日が落ちるのがはやいから、寒さが昼間より厳しい。



 寒さが身に染みるって今の状態を言うんだろうな。



 体だけじゃなく、心に寒さが染みて、痛い。



 …ダメだ。たったそれだけのことが泣けるくらい辛い。



 今、私が受けるすべてのダメージは、直で涙になる気がする。



 早く帰りたい。



 いつもなら10分もかからない家までの距離が、今日はなんでこんなに遠いの。



 寒い
 痛い
 体が重い
 帰りたい
 泣きたい



 ぐるぐると負の連鎖の渦にハマっていく…



 角を曲がればあと少し。



 着いたらおもいっきり泣けばいい。



 早く…早く…



 もう少しで家に着くからか、油断しはじめた私の目にはすでに涙がじんわり。



 今にも零れ落ちそうで、慌てて鞄に手を突っ込んで鍵を探す。



 掴んだ鍵をそのまま鞄の中でギュッと握りしめた。



 もうすぐ。



 もう泣いていいから。



 門に右手を掛けた時、反対の左手がクイッと後ろへ引かれた。



 「おい」



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