慟哭
えっと…
ええーっと……
どうしたらいいのか、頭の中が…っ
え、まって、これってアレ?
こ、こここ告られてるっ?!
はっ、えっ?!まって、ってことはしんちゃんて、私のこと、すっすす好きなのっ?!
あ、でも一言も好きとは言ってないよ?!
パニクって俯く私の脳裏に浮かんだのは…
夏のあの日の公園。
あの笑顔と…手の熱さ。
そして、さっきの親子三人…
あ、やばい、泣きそう…
「…やっぱ男絡みで泣いてたのか」
…………!
しんちゃんの言葉に思わずがばっと顔を上げた。
「ななななんでっ…」
しんちゃんてエスパー?!
「やっぱりな…」
しんちゃんは大きな大きなため息をついた。
「なんで?しんちゃん…」
不思議に思ってきいたのに、しんちゃんは呆れ顔で言った。
「…なんでわかったのかって?てかお前、なんでって聞くってことは否定はしてないんだぞ?」
!…あああっ!
「ちっ違うよ!そんなんじゃないよっ泣いてなんかないしっ!男絡みでもなんでもないしっ」
…微妙な空気が車内に流れる。
「…いまさら過ぎだろ…」
心から呆れ果てた様子のしんちゃんは、片手で窓を開けながらもう片手でタバコの箱を持って、
「天然も大概にしとけ」
と、ぼやいた。
「はぁい……」
なにも言い返すことができない。
…しんちゃんも私も、もうため息しか出ない。
なんでもお見通しらしいしんちゃんには、なんかもう、何を言い訳してもダメだ。
しばらく二人して黙ってた。
しんちゃんはタバコを吸っていて。
私はフロントガラスの向こう側をぼーっと見て。
「ねー…しんちゃん」