慟哭
5 恋
「メリクリ〜!」
みんなとカチンカチンッとグラスを合わせた。
中身はもちろんジュースだけど。
総勢15人が、今日の集まりの一人の子のお家…一軒家の庭に建てられた離れに集まった。
だだっ広い和室はクリスマスパーティーをするには少々和風すぎるけど…
ま、中学生にお店を貸し切りにしてくれるわけもないし、お金もないし。
ありがたくお邪魔した。
お皿やグラスまで借りて、部屋は広いし暖かいし、料理も飲み物も揃って。
気のおけない仲間たちとのパーティーが始まった。
今日は里美はいない。
例の彼氏と二人っきりで、予約済みのいつものラブホでクリスマスをすごしているはず。
そのために里美は昨日からウチにお泊りしていることになっていて。
今日のこのパーティーに一緒に出席していることになっている。
事前の入念な打ち合わせと工作のおかげで、無事にクリスマスを過ごせているはず。
そういえば、あのブルーグレイの勝負下着は今頃…
うーん、いやん。
親友にそんなリアルな想像はやめよう。
うまくいってるといいな。
先輩はもうすぐ卒業してしまうし、毎日会えてたのが当たり前じゃなくなるんだから。
「りーーかっ、どうしたのー?食べてる?」
隣にいた馨(カオル) が肩をつついてきた。
「あ、うん、食べるっ」
物思いから目覚めた私をじっと見つめてくる。
「利香さぁ、最近テンション低くない?」
馨がみんなに言う。
「はーぁっ?なに、利香、なんかあったのー?」
みんなが一斉に私を見る。
言えるかい。
「え〜、ここんとこ里美のアリバイ工作でけっこうがんばってさー、今頃うまくいってるといいなーって」
うそじゃないもん。今はホントにそのこと考えてたし。