慟哭
私が多少いつもよりぼーっとしていようが、パーティーはガンガン盛り上がり、
中学生らしい早目の門限が迫ってきた。
部屋を貸してくれた子のお家の方から「あまり遅くならないようにね」と促しもあり、
後片付けにとりかかったのは7時半を回った頃。
8時前には、みんな帰り道にいた。
三つのグループに別れ、それぞれの方向に歩き出す。私は、馨ともう一人の三人で。
歩きながら、考えるのはやっぱりしんちゃんのこと。
来い、と言われたからには無視するわけにはいかないと思うけど…
どこかにいくつもりなのか、なにをするつもりなのか…
さっぱり想像もつかなくて。
どっぷり暗くなった空を仰いで、
出るのは…ため息。
はあぁ…って何度目かのため息をついていると、隣にいた馨がまた言った。
「やっぱなんかあったのー?ため息ばっかりで。どしたー?」
「んー…帰るの、気が重いなーって」
かなり省略した言い方してみたけど、嘘ついたわけじゃない。
しんちゃんのことはまだ里美にも言ってないことだし…
「なんか嫌なことがあるの?」
「嫌なことなんてないけど…」
嫌、ではない。それも本当。ただ、どうしたらいいのかわからないし、不安というか…
何となくだけど、しんちゃんの顔は今は見たくない。
「さっきまでにぎやかで楽しかったからかな〜なんか終わっちゃったからさみしいって言うか、ね」
馨はうんうん、と頷いてわかるわかる〜と言ってくれた。
「楽しかったあとってなんとも切ないよね〜。でもさ、利香はなんか別件で凹んでんじゃないの?」
…鋭い。
なんとも答えづらい。
う〜んって唸ってたら、ツッコんだ馨が助け舟を出してくれた。
「ま、聞かないけど。なんか困ったらなんでも言って〜」
バイバイ、と手を振って、もう一人の子と道をまがって、二人は行ってしまった。