慟哭



 里美の彼氏の3年の先輩が私たちより大人とはいえ、所詮は中学生、ホテルを手配できたとは思えない。



「そんなの、ラブホに決まってんじゃん」



「ラ…ッ、ラブホッ?!」



 ラブホって泊まれるのっ?知らなかった、あんなコトやこんなコトするだけなのかと…



 あっ、でもホテルだしな、ホテルってのは宿泊するとこだし当たり前か、なんて一人頭ん中で自問自答してみたり。



「朝からお泊りで入って、次の日のノータイムぎりぎりまで、あ、いつも行くとこはノータイムは夕方4時までなのね、ずっと一緒にいるの〜ぉ」



 しっかり説明もしつつノロケられてしまった。



「そんなに一緒にいて…」



 何すんの、と思わず聞こうとしてやめた。



 そんなん決まってんじゃん。ばかだ、私。



「ケンカしないようにね、楽しんできて」



「ありがと〜ん!利香りんっ」



「だからりんりん言うなって…もぉ〜」



 もう里美はなにを言っても語尾にハートが付いている。



 里美のうれしそうな顔を見つつ、なんだか私はというと、訳もわからずブルーな気分で。残っていたジュースを飲む。



 …ぬるい



 なんだかブルーに拍車がかかった。



「里美、あたし外の自販行ってくる」



 気分をかえよう。



「あ、あたし炭酸系!お願い〜」



「一緒にいこう、とか言わない里美が果てしなく好きよ」



 悪態をついた私にも里美は「でしょ〜」と言いつつ笑顔。



 何を言っても楽しそうな里美。



 ああ、そっか。わかった。ブルーの訳。





 うらやましいんだ私。





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