慟哭
外はむっと暑く、熱気と若干の湿気を含んだ空気が身体を包むように纏わり付く。
自販機と図書館は公園内の対角で一番離れたところにある。
園内を歩き始めて1分もたたないうちに汗がじわっとにじんできた。
それなのに公園にいる子供達は元気に遊んでる。
…暑いなぁ。なんで図書館の中に自販機置かないのかなぁっ
頭の上にあるギラつく太陽を睨んだら、クラッとするほど眩しかった。
自販機までの距離の半分くらい来たところだった。
コツッ
「ぁたっ」
…おでこに軽い衝撃があって立ち止まる。
私のおでこに当たって下に落ちた物。
…おもちゃの飛行機?
紙のような薄っぺらい発泡でできた、おもちゃの飛行機だった。
「わりぃね、大丈夫?」
痛みはないものの、おでこを押さえ、びっくりして固まった状態で顔だけ声の方に振り返る。
というか、振り返り見上げる。
頭1コ分以上はあろう上からの声の主は、全然悪そうに思ってないかんじの笑顔。
「ま、こんなんで怪我のしようがねえけど」
そう言いつつ、おもちゃの飛行機をつまみあげた。
そのまま動けず、おでこを押さえて立ち尽くす私の手首を掴み、おでこから剥がした。
「なんともねぇな」
かなり屈んで私のおでこを覗きこみそう言った。
っ、近いっ…
「そんなびびった?」
クククッと笑って、私の頭にぽんぽんっと手を置いた。
私はばかみたいに彼の顔をみつめていた。
一言で言えばカッコイイ、だろう。
でも、なんだろう。
カッコイイだけじゃない、なにかが感じられて目が離せないんだ…
一言も話さない、彼から見たらきっと無愛想な私。
「じゃーなー」
笑った顔のまま、去っていった。
熱い。顔が異様に。
それと、さっき掴まれた手首が。