慟哭
2 再会、は…
昼休み。
長かった夏休みが終わった。でもまだまだ9月は暑い。特に今日は夏本番のように暑すぎる。
今日はセミだって「こんちくしょうっ」て勢いで鳴いてる。
夏服のセーラー服の襟元から風を入れるように下敷きでパタパタ仰ぐ。
「利香ぁ〜…」
半泣きの里美が前の席に座って言う。
「中間…どうするよ?」
「…言わないで」
夏休みが終わり、新学期が始まれば行われるのはもちろんテスト。
この中間テストがテストの中でも一番キツイ。夏休みの怠けたツケがくるうえにこの暑さ。やる気なんか起こるはずもない。
「ヤマはるか…真面目に全部やっつけるか。利香はどっちでいく?」
暑さとセミのうるささと朝練で泳いだ疲れと…思考がまとまらない。
「…それすら考えたくもない…」
おまけにお腹はいっぱいだし。
「…あんた、あたしよりまずいんじゃないの」
里美はいかにもヤバ気な目線を私に向けた。
「とりあえず、図書館にでも行ってさぁ…」
里美が私の下敷きを奪いながら言う。
図書館。
あれから、やっぱりあの男の人に会うことはなかった。
だんだんあの公園へ行く回数も減った。
私の中で、必ずもう一度会える予感がする
……のになぁ。
そう思っていたんだけど、最近はめっきり自信もなくなって。
時々忘れてしまいそうなくらいだ。
でも忘れてしまうのがどうしてもいやで。
心の中で一人もがいていた。
「…か、りーかっ」
「ふぇっ?!なにっ?」
「聞いてないでしょーっもおっ!あのね、今日早速図書館行かないって言ってるのー!」
「あ、うん行く」
久しぶりに行く図書館にほんのちょっとだけ期待したのは内緒。
でも、世の中そう甘くはないのはよくわかってる。