大好きな笑顔 ~オレと生徒~
「柴原先生。」
教頭先生に呼ばれて驚いた。
「はい、何でしょうか。」
「これから1年間
君の指導をしてくださる
佐藤先生だ。」
隣りに目をやると
見るからにベテラン教師
という雰囲気の先生が
立っていた。
オレは慌てて立ち上がり
「宜しくお願いします」
と頭を下げた。
「あぁ。よろしく。
君はすばらしいと
聞いているから
期待しているよ。」
…えっ、オレが?
確かに最近
難しくなっている
教員試験にストレートに
合格し、1年目にして
非常勤ではなく正式に
採用され、さらに
担任まで持たせて
もらえたわけだが
オレは自分が
期待されるような
人間だとは一度も
思ったことはなかった。