僕等の怪談(1)
僕達が今回の事件を知るきっかけになったのは、朝から蒸し暑い夏の日だった。
朝礼で学年主任のタヌキもとい田沼から注意があった。
「今月になってから怪我をして保健室を利用する生徒の数が増えています。皆さん怪我にはくれぐれも注意して下さい。」
なんて優しい声で話しているけど、いつもはもっとガミガミうるさい。
全体朝礼の時は新入生も一諸だから、怒鳴れないらしい。
これは卒業した先輩に聞いた話しだけど、前は全体朝礼で新入生がいても構わずに怒鳴り散らしていたんだって。
それが田沼が朝礼で怒鳴った時に、入学したばかりの女子生徒が泣き出してしまったってわけ。
勿論、田沼だって関係ない女子生徒を怒鳴ったりしない。
その子は自分が怒鳴られた訳でもないのに泣き出してしまったんだ。
この時はPTAも出て来て大騒ぎになったらしい。
それから田沼は新入生のいる全体朝礼では怒鳴らなくなった。
「怪しいわね。」
ふわりっと半回転して花子さんが姿を現した。
「うわっびっくりした。花子さんっ・・・怪しいって何が?」
僕は驚きのあまりドキドキしている胸を左手で抑えた。
「あの先生は、今月になってから怪我人が増えたって言ってたわよね。でも違うわ。」
花子さんは記憶をたどるように綺麗な両目を閉じた。
「いや、でも確かに今月に入ってから急に怪我人が増えたんだよ。」
僕よりちょっとだけ背の高い淳が列の後ろから顔をのぞかせた。
「確かにな。うちのクラスだって今月になってから体育館で怪我して保健室で世話になった奴いたぜ。」
淳のさらに後ろから遠藤が顔を出した。
「だからそうじゃなくて、毎年この月になると怪我人が増えるのよ。」
花子さんは僕達3人の頭上を行ったり来たりして説明を始めようとした。
「それって体育館にいる幽霊が悪さしてるって事?」
僕は思わぬ展開にゴクリとのどを鳴らした。
「そこ、喋るな。」
怒りを抑えた田沼の声が壇上からとんできた。
「じゃあ、昼休みにね。」
花子さんは僕達が怒られたのをきっかけに、説明を止めて姿を消した。
朝礼で学年主任のタヌキもとい田沼から注意があった。
「今月になってから怪我をして保健室を利用する生徒の数が増えています。皆さん怪我にはくれぐれも注意して下さい。」
なんて優しい声で話しているけど、いつもはもっとガミガミうるさい。
全体朝礼の時は新入生も一諸だから、怒鳴れないらしい。
これは卒業した先輩に聞いた話しだけど、前は全体朝礼で新入生がいても構わずに怒鳴り散らしていたんだって。
それが田沼が朝礼で怒鳴った時に、入学したばかりの女子生徒が泣き出してしまったってわけ。
勿論、田沼だって関係ない女子生徒を怒鳴ったりしない。
その子は自分が怒鳴られた訳でもないのに泣き出してしまったんだ。
この時はPTAも出て来て大騒ぎになったらしい。
それから田沼は新入生のいる全体朝礼では怒鳴らなくなった。
「怪しいわね。」
ふわりっと半回転して花子さんが姿を現した。
「うわっびっくりした。花子さんっ・・・怪しいって何が?」
僕は驚きのあまりドキドキしている胸を左手で抑えた。
「あの先生は、今月になってから怪我人が増えたって言ってたわよね。でも違うわ。」
花子さんは記憶をたどるように綺麗な両目を閉じた。
「いや、でも確かに今月に入ってから急に怪我人が増えたんだよ。」
僕よりちょっとだけ背の高い淳が列の後ろから顔をのぞかせた。
「確かにな。うちのクラスだって今月になってから体育館で怪我して保健室で世話になった奴いたぜ。」
淳のさらに後ろから遠藤が顔を出した。
「だからそうじゃなくて、毎年この月になると怪我人が増えるのよ。」
花子さんは僕達3人の頭上を行ったり来たりして説明を始めようとした。
「それって体育館にいる幽霊が悪さしてるって事?」
僕は思わぬ展開にゴクリとのどを鳴らした。
「そこ、喋るな。」
怒りを抑えた田沼の声が壇上からとんできた。
「じゃあ、昼休みにね。」
花子さんは僕達が怒られたのをきっかけに、説明を止めて姿を消した。