僕等の怪談(1)
「それよりどうするんだ?」
遠藤が口を挟む。
「どうするって?」
僕と淳が同時に振り向いた。
「先公に話すとか、そいつを見つけて仕返しするとか。」
遠藤はちょっとだけ興奮してるみたい。
「先生に言い付けるって冗談だろ?それにもし本当に女の子だったら仕返しなんて可哀相じゃん。」
二人とも性格も口調も見た目とはギャップがあるんだよな~。
遠藤は茶髪で体格もいいから、ちょっと怖がられてる存在。
でも実は先生とも仲良しで学校も好きなんだと思う。
あと女の子にはモテるけど相手にしないって言うか冷たいし。
逆に淳は優等生で通ってるけど先生の事は信用してないし、学校もよくサボる。
見た目はインテリ系優等生でちょっと冷たく見えるけど、実は男女ともに(生徒には)優しくてフェミニスト。
「でもこのままにしておいていいのかな?」
僕はそう言いながらも、どうすればいいのか分からなかった。
「うーん。確かにいくら女の子でもやり過ぎだよな。実際怪我させられてるのも俺だけじゃないみたいだし。」
淳は何かを決め兼ねている様子だ。
「だったら俺等で捕まえようぜ。」
遠藤はニカッと笑っている。
「お前ずいぶん楽しそうだな。俺は怪我したんだぞ。」
淳は呆れてる。
「いや、だから、余計にほっとけないんじゃん。なっ、なっ、俺等で捕まえようぜ。」
遠藤はもうやる気満々で、こうなると僕と淳がやらなくても一人で突っぱしっていっちゃうんだ。
「で、どうやって捕まえる気?」
淳は反対しても遅いって気付いたみたい。
「そうこなくっちゃ。お前、昨日帰ったの何時頃?」
「委員会の仕事が終わらなくて18時過ぎだったかな。少し暗くなってたから。」
淳は記憶を辿りながら話した。
「じゃあ、今日は18時から紫陽花の階段を俺等で見張ろうぜ。」
遠藤は新しいイベントに夢中で、僕は今更「いや」なんて言えなかった。
< 41 / 61 >

この作品をシェア

pagetop