僕等の怪談(1)
「沢田、やめなさい。」
階段の最上階に誰かが立っている。
「ギッギッギッあっあっ」
「沢田、すまなかった。」
男性らしい人物は、一段一段ゆっくりと踏み締めるように階段を下りてきた。
「ギッ、あっ、せん、いっ」
「沢田、私が分かるか?その生徒を離しなさい。」
中年の男は中肉中背で少し髪が薄くなりかけていた。
「せん、せっ、」
僕を縛り付けていたべっとりとした髪が、身体から剥がれていく。
その瞬間を逃さないとばかり、2人の力強い腕に引き寄せられた。
「淳君、遠藤君。」
僕は2人にしがみつきながら男を振り返る。
四つん這いの生き物が、上手く二足歩行出来ずにグキッグキッと関節を不自然に曲げながら男性に迫っていく。
「独りで寂しいなら、私が一諸に逝ってやる。」
男は自分に近付くモノに手を差しのべている。
「もしかして、あのオジさんって花子さん?」
僕は誰に言うともなくつぶやいていた。
「そうか。じゃあ、犯人の姿に化けて」
「違うわよ。確かにここまで取り憑いて来たんだけど、あの人もずっと彼女に会いたかったみたいね。」
花子さんは僕達の頭上から顔を覗かせた。
「花子さんっ」
「じゃあ、あの人は本物の犯人?」
「・・・って、ほっといたら殺されちゃうんじゃないか?」
「しぃーっ」
僕達がいっぺんに喋りだしたから、花子さんは人差し指を立てて静かにって鼻にあてがった。
それから、鼻にあてていた指を男性に向けた
階段の最上階に誰かが立っている。
「ギッギッギッあっあっ」
「沢田、すまなかった。」
男性らしい人物は、一段一段ゆっくりと踏み締めるように階段を下りてきた。
「ギッ、あっ、せん、いっ」
「沢田、私が分かるか?その生徒を離しなさい。」
中年の男は中肉中背で少し髪が薄くなりかけていた。
「せん、せっ、」
僕を縛り付けていたべっとりとした髪が、身体から剥がれていく。
その瞬間を逃さないとばかり、2人の力強い腕に引き寄せられた。
「淳君、遠藤君。」
僕は2人にしがみつきながら男を振り返る。
四つん這いの生き物が、上手く二足歩行出来ずにグキッグキッと関節を不自然に曲げながら男性に迫っていく。
「独りで寂しいなら、私が一諸に逝ってやる。」
男は自分に近付くモノに手を差しのべている。
「もしかして、あのオジさんって花子さん?」
僕は誰に言うともなくつぶやいていた。
「そうか。じゃあ、犯人の姿に化けて」
「違うわよ。確かにここまで取り憑いて来たんだけど、あの人もずっと彼女に会いたかったみたいね。」
花子さんは僕達の頭上から顔を覗かせた。
「花子さんっ」
「じゃあ、あの人は本物の犯人?」
「・・・って、ほっといたら殺されちゃうんじゃないか?」
「しぃーっ」
僕達がいっぺんに喋りだしたから、花子さんは人差し指を立てて静かにって鼻にあてがった。
それから、鼻にあてていた指を男性に向けた