誓い
ある日。

この日はあまり
体調が良くなくて、
でも病院に連れ戻されるのが
嫌で黙っていた。

今日も千依が来ている。

「でね、今度のパーティーは
私も何か作ろうと思うんだぁ。」

「…いいんじゃない?
ってか、千依料理出来たっけ。」

「あ、失礼しちゃうなぁ。
これでもお母さんを
手伝ってたんだから。
美味しいよ?
今度作ってあげるね。」

「…いいよ、別に。」

「えっ?」

「作ってくれるのは
ありがたいんだけど…。
普通の人と同じ味のものは
ダメなんだ。」

圭吾は病気のせいで
食べられないものの方が多い。

味付けも難しいし、
千依にはまだ無理だと思った。

「そっか…。
ごめん、知らなくて。」

「いいよ。
でも、病気が治ったら、
沢山作って。
結婚したら、毎日作るだろ?」

「そっか、そうだよね。」

「これから何十年も
一緒に居るんだから、
今はまだ良いんだと思う。
今のうちにいっぱい
レパートリー増やしておいて。」

「うん、解った。」

(千依の笑顔。
僕はいつまで
見ていられるだろうか。)

希望は語れるけれど、
現実がどこまで追い付くか
解らなかった。

(怖い…。)

具合が悪いとどうしても
マイナス思考になってしまう。
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