幼なじみ 【短編】
幼なじみ
「宮本さんって、賀川君と付き合ってるんですか?」


今日で何回目だろう。

うっかりため息をつきそうになる。

私はお決まりの文句を、目の前に居る顔を真っ赤にした儚げな女の子に話してあげた。

「私は、ただの幼なじみ。優は今、彼女募集中だから頑張ってね」

みるみるうちに、女の子の顔が明るくなるのがわかる。


分かりやすいな。


「ありがとうございます!!頑張ります」

女の子は軽くお辞儀をすると、廊下を走り出して行った。


はぁぁぁぁぁ~~~~


女の子が見えなくなってから、私は大きくため息をついた。


何で、私が優のマネージャーをしなきゃならないのよ!!!


私は側に置いておいたカバンを持つと、クルリと方向を変えた。


!!!!!!!!!!!


「優!!」


壁からひょっこり首を出している優が、私を見ていた。


「ちょっと、居るんなら出てきてよね。全部見てたでしょ?」


優は顔の前で手を合わせると、

「苦手なんだよ、ああいうの」


苦手って……

あの子の気持ちはどうなるの?!

「どっちにしろ、ちゃんと返事してあげなきゃダメだよ」

「……はいはい、分かったよ」

優は面倒くさそうに返事をして、不服顔で教室に鞄を取りに戻って行った。

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