引き金引いてサヨウナラ


「美菜~、ご飯よ~」



着替え終わると同時に、階下から声が掛かった。



美菜が居間へ降りると、父親の達也が帰って来ていた。



美菜は父親を一瞥すると、無言で食卓に座った。



達也も、美菜をチラリと見ただけで、すぐにテレビのリモコンへと手を伸ばす。



パチンという音がしてテレビが明るくなり、地方ニュースが始まった。


番組を見ながら、黙々と箸を口に運ぶ達也。


柚江は誰へ言うでもなく、でも当て擦りのように「行儀悪い」とぶつくさ呟きながら、達也に無断でテレビを消した。


美菜はその様子を見て、また一つ溜め息をついた。


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