引き金引いてサヨウナラ


登校途中の道行く人々も、今日はなんだか疲れ果てているように見える。


そのせいか、はたまたこの重苦しい空のせいか、町全体が陰鬱に沈み込んでいるように感じた美菜は、溜め息をついた。



学校では、当然ながら朝のミサイルの話題で持ちきりだった。


聞くまいとしても、耳は勝手にそばだってしまう。


美菜はこめかみを押さえ、教室へ向かった。


クラスメイトたちに挨拶し、美菜が自分の席に座ると、弘と叶が談笑しているのが目に入る。


美菜はなんとなく二人から目をそらした。


朝小学校へ行ったときに、叶に全く話し掛けることが出来なかったのが、今更心にわだかまっていた。


叶はあのとき、挨拶くらいはしてくれたかもしれないが、視線すら合わせられなかった自分にそれを知るすべはない。


なぜ視線も合わせられなかったのかといえば、有り体に言えば意識していたから。


着ていたのはパジャマで、外に出る格好じゃなかったし、顔だって髪だって外出を考えたものじゃなく、あきらかに寝起き。


そんな格好を叶に見せるのが気恥ずかしかったのだ。


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