引き金引いてサヨウナラ
授業は普段通りに執り行われた。
休み時間を挟むたびに、だんだんとミサイルのことも、生徒たちの話題にあがらなくなってきた。
数人の騒ぎ好きなクラスメイトが「テロだ」「陰謀だ」と騒ぎ立てているのを、美菜は冷ややかな目でみる。
果てはオカルティックなものに結びつけるものもいて、地球滅亡説なんても飛び出して来たのには驚いた。
さすがにそこまでいくと、周りの生徒たちも失笑気味だ。
バカバカしい――
地球滅亡説は抜きにして、テロにしろ何にせよ、せいぜいヤマト重工とその従業員が困るくらいだろう。
晴香を始め、ヤマト重工の関係者には申し訳ないが、自分に関係ない。
自分に降りかかってくることはない。
所詮、他人事。
騒ぎ立てるものたちも、他人事だと思ってるからああやって好き勝手言っていられるのだ。
もし、自分の身に降りかかるものであったなら……
美菜は、いつもの色に戻った空を、ぼんやりと見つめた。