引き金引いてサヨウナラ


「たった今、相手国から宣戦布告があったと報道された」


担任が告げたあと、しばらく無音が続いた。


担任の言葉が頭に入ってこない。


唾を飲み込む音が、やけに耳につく。


担任は黙って生徒たちの反応を見ていた。


そうすることで、自分が告げた言葉が現実のものであるかを、確かめるかのように。


「実験じゃなかったってこと?」

「ワザとだったの?」


ざわざわとした囁きが、呟きが、教室中に渦を巻く。


ひとしきりそれが続いたあと、だんだんと声は小さくなり、いつしか教室は物音一つしない空間になっていた。


< 103 / 221 >

この作品をシェア

pagetop