引き金引いてサヨウナラ


美菜が家に帰ると、まだ両親は帰ってきていなかった。


柚江は近くのスーパーでパート勤務しており、帰ってくるまで少し時間がある。


美菜は部屋に行って、制服から私服へ着替えると、居間に戻りテレビをつけた。


いつもなら見ることのないニュースへ、チャンネルを合わせる。


もっとも緊急特番で、どのチャンネルもニュースしか放映されていなかったが。


真面目そうな女のキャスターが、緊張に顔をこわばらせ、ニュースを読み上げている。


『日本政府はこの宣戦布告をうけ、国連に……自衛隊は……攻撃権……憲法により……アメリカ政府が……なお、国民の皆様には……』


今朝のミサイルが美菜の町の近くに落ちていなければ、きっとこのニュースさえ見ようという気にはならなかったろう。


もし見たとしても、どこか遠い国の出来事に感じたろうな、と美菜は漠然と思った。


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