引き金引いてサヨウナラ
美菜は、両親は恋愛結婚だときいていた。
達也の働いている会社に、事務パートとして柚江が入ってきて、大恋愛の末に結婚したのだと。
それなのに、十数年も経つとこんな風になってしまうのか。
優しさも、いたわりもなく……
男は金を稼いできて当たり前、女は家事をして当たり前。
好きな番組も見せてもらえず、料理を作っても感謝の言葉ひとつない。
弘と晴香もこんな風になってしまうのだろうか?
そう思い、やるせなさが美菜の心に降り立つ。
意見に反対をしている両親を説得する程に熱意があっても、いずれはここに行き着いてしまうのだろうか。
いや弘たちならきっと、こんな風にはならないだろう。
そう思うと、自分の両親が幾回りも矮小に見えてしまい、両親へ向けている自分の目が、ひどく冷めたものになっているのを自覚するのだった。