引き金引いてサヨウナラ


「どういうこと?」


『自衛権の行使』って、何?


自衛って、何?


どこまでが自衛なの?



まさか、戦争が始まるのだろうか――


不安に押しつぶされそうになりながら、美菜はテレビから達也に視線を戻す。


柚江が立ち上がり、美菜の足元から箸を拾い上げ流しで洗ったのち、達也の目の前にことりと置く。


少しだけ手が震えていた。


達也は美菜の質問には答えず、小さくうめいた。


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