引き金引いてサヨウナラ
「ごちそうさま」
連絡事項のやりとりくらいで、会話らしい会話のない食卓から立ち上がり、美菜はテレビをつけた。
柚江は惰性のように達也へお茶をそそぎ、達也は静かにそれを受ける。
美菜が居間のソファーに座ると、ちょうどドラマが始まるところだった。
最近人気の出てきた俳優と、売り出し中の女優が出演していて、恋愛模様を描いたドラマ。
イケメンで俺様な男の子に翻弄される女子高生。
バカバカしい――
そう思いながらも見てしまうのは、明日、友達の会話に混ざれないと嫌だから。
そんな事を気にする自分が、一番バカバカしいのかもしれないと思いながらも、ぼんやりと画面を眺めてストーリーをなぞる。
「お風呂、沸いてるわよ」
背後から母親に声を掛けられたが、
「これ見たら入る」
と、振りかえりもせず返事をした。